うつ病患者の生活

うつ病と診断されて9年の42歳。休職や転職を繰り返して2015年はアルバイトとして社会復帰。そんな人はこんな生活をしてるよって日記です。認知行動療法、対人関係療法、週間活動・気分記録表、メンタル・フィジカルチェック、障害年金など取り組んでいることを記録しています。

うつ病の予防をするにはどうすればいいか

コンパクトな良記事があったのでご紹介しつつ、経験者として補足します。

沖縄県医師会編[命ぐすい耳ぐすい]うつ病100万人時代 -予防するには-

沖縄タイムズ(一銀クリニック・城間功旬)

筆者はうつの予防には「悩み方の知識を持ち実践すれば良い」と言います。具体的には「今頭の中にある事が、考えている事なのか、気を病む事なのか区別」して、その上で「行動して目の前に集中する事」が予防になるのだと。

「考える」は試験を解くように「明快に答えがある事」なのでそれほど疲れません。「気を病む」は過去の後悔・未来の取り越し苦労をしており、それらは答えがないために堂々巡りの果てしないスパイラルに陥り、膨大なエネルギーを消耗し脳が疲れ果てて、うつ病になるのです。

目の前に集中する

行動して目の前に集中することはとても有効な方法だと思います。経験者として補足するならば、結論を焦らないことが重要だと思います。スモールステップで階段を一段ずつ上がっていくこと。一段上だけをみてそれを上がることにのみ集中する(頂上をみない)ということが「目の前に集中する」の意味するところだと思います。もちろん余裕があれば頂上を意識しながら今やっていることが到達のために何の意味があるかを考えながら登っても構わないのですが、それが負担になって気に病んでしまうようなら敢えて頂上はみないということです。

「考える」と「気に病む」は区別できるか

私は少し違う考え方です。明快な答えに薄々気づいていながら知りたくないこともありますし、分かりながら気が重くて行動したくないこともあります。事情を知らない他者から見れば答えは明白であっても、やらないで先延ばしにしていることはたくさんあると思います。そんなとき答えはコレだよと他者から指摘されたりしたら、知りたくないことを知らされて気分はさらに落ち込みます。理路整然と言われたらもう逃げ道が塞がれたも同然です。最悪の結果を想像し、行動することが恐くて思い悩んでしまうことは誰にでもあることです。答えが分かっていればできるとは私は思いません。分かっていればこそできないこともあるのです。そこを気合だけで乗り越えるにはうつ状態にある人にとって困難です。

気合では乗り越えられないとき

行動活性化療法

気合では乗り越えられそうもない状態にあるとき、どうしたらいいのでしょうか?2つの側面からのアプローチがあると思います。ひとつはこの記事にもあるように行動して目の前に集中すること。スモールステップです(行動活性化療法)。うつ状態にある人にとって目の前に集中することは結構難しかったりします。繋げて考えるクセができているため先を見通せてしまい、結果を恐れて行動できなくなっています。「それをやることに何の意味があるのか?」をひとつひとつ理解してからでないと行動しないクセがついています。私が通っている就労支援施設では行動活性化プログラムの他、課外プログラムとして農業(過去記事あり)やジョギングをやりました。ハードではないけれど目先のことしか集中できない状況を擬似的に作ります。目先のことをクリアしていった先に成果が待っていたという形での成功体験を重ねて、結果から逆算して行動する以外のプロセスがあるんだということに気づきました。このプロセスを自分の抱えている課題にも応用して「行動して目の前に集中する」方法を身につけていきます。

認知行動療法

もうひとつは、「先を見通す」や「結果から逆算して」に関係があります。いずれの能力も一般にはいいこととされています。この能力が高い人は優秀だと評価されます。でも想像している結果が良くないイメージのものだったとしたら腰は重く上がりにくいですよね?誰にでもそういう事柄のひとつやふたつあるのではないでしょうか?進学のこと、結婚のこと、出産のこと、会社や親戚、家族との人間関係のこと、仕事のこと。悪い結果になるのを恐れて行動を先延ばしに先延ばしし、それがいくつもの事柄で同時に起こったとしたら何から手をつけていいのやら途方に暮れてしまいます(私は2つ同時に起きたことでうつになりました)。とりあえず一番手っ取り早く悩みから逃れる方法は寝逃げ...。そうしているうちに本当に体が動かなくなり、やっと気合を入れて行動しようとすると熱が出たりめまいがしたり吐き気がして体が拒否してきます。それががうつ状態です。しかしそれは正常な体の防衛反応です。だって行動したら悪い結果になるとわかっていることを進んでやれる人はいませんから。この状態から一歩前に出るためのヒントは「違う結論はありえないのか」を考えてみることです。「先を見通」し「結果から逆算」するとしても想像する結果が悪いものだったら行動はしにくいものです。でも悪い結果しかありえないのかどうか?。事実はひとつだとしてもそれを悪く評価するしかないのか?違った可能性があるのではないかと考えてみる認知行動療法)方法です。具体的な方法は過去記事に譲りますが、少しラクになりそうな考え方を採用できれば重い腰も少しずつ軽くなっていきます。そしてラクになれる感じ方にもとづいて行動してみると、案外イメージした通りの結果が返ってきて自信がついてくるのです。成功体験を重ねるうち、ラクな考え方で事に望むことが自然になってきます。